プラ型用部品
- 射出成形加工におけるゲートシール時間を予測するためには、いくつかの経験式が使用されています。 ゲート形状が円柱形の場合(ピンポイントゲートやサブマリンゲート)には次式が使用されています。タグ:
- プラスチック射出成形品の冷却時間を計算するためには、プラスチックの熱拡散率を知る必要があります。【表1】に、主要なプラスチックの熱拡散率を示します。 α:キャビティ表面温度における樹脂の熱拡散率(mm2/sec) α=λ/(c・ρ) λ:樹脂の熱伝導率(kcal/m・h・℃) c:樹脂の比熱(kcal/kg・℃) ρ:樹脂の密度(kg/m3)タグ:
- 押出成形は、雨樋やグレー色の排水パイプ、チューブなどの同一形状断面の連続したプラスチック成形品を成形加工する方法です。 押出成形には、専用の押出成形機が必要です。また、成形品の形状を得るために加工された金型も必要になります。押出成形用金型は、一般に押出ダイと呼ばれます。 押出ダイには様々な種類があります。例えば、下記のような種類があります。 ストレートダイ クロスヘッドダイ フラットダイ ソリッド用ダイ フィルム用ダイ パイプ用ダイ 被覆用ダイ 押出ダイは、ステンレス鋼、ニッケル・クロム鋼、合金工具鋼で製作されます。ダイは、硬質クロムめっきや表面処理が施され、腐食や摩耗に耐えるような工夫がなされています。 ダイの保持部分は、S50C等の軟鋼が使用されます。 成形品の品質は、ダイの形状や設計が重要な要素を占めていますが、押し出す速度等の加工条件も大切です。タグ:
- 真空成形法は、鶏卵のパッケージやプリンのカップ、包装用器などの薄いプラスチックシート状の成形品を加工する成形法です。 真空成形法は、射出成形法のように原材料ペレットを一旦溶融させることはせずに、あらかじめシート状に成形されたプラスチック板を、加熱された金型に、真空吸引させて変形させます。(【図】参照) 金型には、真空吸引するための穴がいくつか設けられています。プラスチックシートを変形させる補助をするために、プラグが下降して押す場合もあります。 一方、圧空成形は、圧縮空気によってプラスチックシートを変形させる方法です。 これらの成形法で成形された成形品の縁は、後工程で、プレスにより切断したり、少量であれば、はさみ等でカットします。 成形が可能なプラスチックとしては、タグ:
- トランスファー成形法は、熱硬化性プラスチックの成形法の一つです。 前回解説しました圧縮成形法が、熱硬化性プラスチックの成形法としては代表的ですが、金型を閉じて圧縮する際の加圧が不均一になってしまったり、その結果細いピンや金型の一部が変形したり破損したりする可能性があります。 トランスファー成形法は、圧縮成形法のこのような弱点を改良するために考案された成形法です。 金型の内部へのプラスチックの注入は、プランジャーによって行われます。したがって、比較的均一な圧力で金型内部へプラスチックを注入することが可能です。 金型は、下記の2種類に大別されます。 ポット式金型 プランジャー式金型 トランスファー成形法は、半導体MPUの封止成形や電子部品(素子部品)の成形に多用されています。 成形時に発生するガスや、気泡の巻き込み防止対策や、多数個取り金型のランナーバランスなどが、重要なノウハウとなっています。タグ:
- 圧縮成形法は、熱硬化性プラスチックの成形法として使用されている成形法です。熱硬化性プラスチックは、常温では液状ですが、加熱しますと固化し、一度固化すると永久に固体のままである特性を持っています。固化は、架橋反応という化学変化によってもたらされます。 代表的な材料としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂などがあります。 圧縮成形法は、プラスチックが発明された当初から使用されている古典的な成形法です。 金型を雄型と雌型を作り、雌型の中に成形材料を投入し、雄型を閉じて、金型を加熱して固化させ、成形品を作ります。 雄型を閉じる際には、余分な樹脂をパーティング面から溢れ出させてバリにします。成形後にバリは除去を行います。(【図1】)タグ:
- 今回は、電鋳製ピンポイントゲートブッシュを紹介します。 ピンポイントゲート用のゲートブッシュは、ゲート先端部の磨耗が発生した際に、部品交換をすることだけで容易にメンテナンスができる標準部品です。 ところで、射出成形加工におけるサイクルタイムは、ピンポイントゲート部の冷却時間が大きな影響を与えています。ゲート部が太いと冷却時間が長くかかりますので、できるだけ細い方が冷却時間を短くすることができます。 しかしながら、細いゲート形状を切削加工や放電加工でゲートブッシュに加工することは困難であり、ゲート部の内面を精密に磨くことも困難になります。 ゲート部の内面の表面粗さがきめ細かく仕上がっておりませんと、ゲート部の固化したプラスチックがブッシュから抜ける際に、離型不良を起こす危険性があります。 そこで、このような不都合を改善するために「電鋳」によりゲートブッシュを製造する方法が採用されています。タグ:
- ガラス繊維入りのエンジニアリングプラスチックを使用するピンポイントゲート構造射出成形金型では、ピンポイントゲート部が摩耗によってゲート穴が変形したり、拡大したりする不具合が量産成形時にしばしば発生します。 ゲート穴が摩耗してしまいますと、以下のような不都合が生じるおそれがあります。タグ:
- プラスチック射出成形金型の設計製作の世界では、他の機械設計製作の分野よりも比較的早く標準化が普及してきたと言えるでしょう。 (株)ミスミもその一翼を担ってきたわけですが、あらためて設計製作の標準化がもたらすメリットとデメリットについて、比較考量をしてみたいと思います。タグ:
- 二段突き出し構造とは、成形品をコアから突き出す際に、2回の突き出し工程を行うことができる構造のことです。 一般の射出成形金型では、1回の突き出ししか行いませんが、二段突き出し構造は、金型内部に時間差をおいて2回の突き出しを行わせることができるため、1回の突き出しのみでは金型から成形品が取り出せないような場合には好都合なメカニズムです。 例えば、【図1】に示すようなストリッパープレート突き出し構造の場合では、ストリッパープレート上に成形品形状が彫り込んであるために、成形品は自由落下が難しくなっております。 そこで、【図2】に示すような二段突き出し構造とすれば、平易に成形品を自由落下させることができます。タグ:
- ストリッパー突き出し構造は、成形品にエジェクターピンの跡が残ってはいけない場合などに採用される突き出し構造です。 【図1】に示すようなアクリルやポリカーボネート等の、透明な光学用途部品などに採用されています。 【図2】には、ストリッパー突き出し構造の事例を示します。タグ:
- 今回は、少し技術的な内容から離れて、プラスチックの歴史について物語り風に記述してみましょう。 プラスチックが工業分野で大量に使用されるようになったのは、わずか60年ぐらい前の出来事でした。 それ以前には、天然樹脂を人類は使用しており、5000年ぐらい前には天然アスファルトを使用していた史実もあるようです。松やにや天然ゴム、ラック貝殻虫の分泌液(シェラック)などは、戦前では貴重な工業材料でした。 1869年には、アメリカ合衆国のジョン・ハイアット氏がニトロセルロース(火薬の原料であって、木材の繊維を硫酸と硝酸で溶かして作る)に樟脳(しょうのう)を加えると、象牙に似た物質が得られることを発見しました。 彼は、ビリヤードの球を作る材料を研究している最中に、この発明をしたそうです。 この物質は、「セルロイド」と命名され、様々な用途に使用されるようになりました。タグ:
- 構造・用途・使用事例 電気ヒーター エンジニアリング・プラスチック(エンプラ)やスーパー・エンプラの中には、キャビティの表面温度が100℃を超える種類の樹脂が増えてきています。 キャビティの表面温度が90℃ぐらいを超えてしまいますと、水(お湯)による温度調節では通常、昇温が困難になります。 一般には、下記の手段が採用されます。 油温度調節 油による温度調節は、型板やキャビティに設けられた流路に、循環ポンプから吐出された油が、ジョイントホース経由にて循環することにより、温度を一定に保ちます。一旦、設定温度まで温度が上がってしまいますと、比較的安定した温度維持が可能です。 しかし、温度の立ち上がりには時間を必要とする短所があります。 また、油の取扱いは、やけどの危険性があり、さらに油の後処理が面倒であるといった点も懸念されます。タグ:
- オイラーの式を使って、エジェクタピンの座屈に関する強度計算の演習を行ってみましょう。 問題 【図】に示すストレートエジェクタピンの座屈強度について検討してください。 ただし、エジェクタピンの材質はSKH51とし、硬度は58〜60HRCとします。 解答例 図より、タグ:
- エジェクタピンには、溶融したプラスチックがキャビティ内に充填される際に、ピンの先端部に圧力が作用します。 エジェクタピン自体は、細長いピン形状をしていますので、このような形状の端部に強い圧縮荷重が作用しますと、ピンの途中から曲がったり、破壊したりする「座屈(ざくつ)、buckling」という現象が発生する可能性があります。 エジェクタピンのような形状の座屈に関しては、強度計算を行う経験式がいくつか提唱されています。 その代表例としては、「オイラーの式」(Euler's formula)があります。 オイラーの式は、下記のようになっています。タグ:
- ロックウェル硬さ試験は、プラスチック射出成形金型用部品の硬さの表示方法では、最もポピュラーな試験方法です。 ロックウエル硬さは、 50HRC のように、表記されます。つまり、 硬さ値、HR、スケール の順番に表記します。例えば、60.5HRC、45HRBのように表記されます。 スケールとは、硬さ測定に用いる圧子(測定物に押しつける測定子のこと)の種類と試験荷重によって規定されています。タグ:
- アンダーカット量の比較的小さな成形品の処理構造の一つとして「浮上コア構造」があります。 浮上コア構造は、スライドコア構造や傾斜ピン突き出し構造と比較しますと、構造がシンプルであり、金型の製作コストが低減され、さらに作動時のトラブル発生リスクも低く抑えることができます。 【図】には、浮上コア構造の例を示します。タグ:
- 金型のキャビティ空間には、空気が存在しています。射出成形では、キャビティ空間に溶融したプラスチックを充填するわけですが、言い換えれば、空気と溶融プラスチックを置き換える工程であるとも表現できます。 したがいまして、空気を効率的にキャビティの内部から外部へ排出することができれば、充填に際しての抵抗も小さくすることができますので、充填圧力を低く抑えることができ、結果的には成形品の残留応力を小さくすることができるようになります。また、コアピン等の充填圧力による破損も防止することができます。 一方、溶融プラスチックから発生する揮発成分やガスもキャビティ内部から外部へ排出することができれば、成形品の品質を向上させることができます。 このような機能を担うのが、「エアベント構造」です。エアベント構造は、【図1】に示すようなパーティング面に設ける例や【図2】に示すようなコアピン側面に設ける例があります。タグ:
- プラスチック射出成形金型の部品は、部品どうしの接触や摩擦、さらにはプラスチック材料に含まれているガラス繊維等によって摩耗します。 摩耗の状態が、許容される範囲を超えてしまった場合には、金型がきちんと作動しなかったり、金型が破損したり、成形品の形状が変形したりする不具合が発生してしまいます。 金型の摩耗には、正常摩耗と異常摩耗の2種類に分類されます。 正常摩耗は、接触したり摺動したりする部品どうしが、徐々に磨り減ってゆく際に発生する摩耗のことです。摩耗をしにくくすることは技術的に可能ですが、摩耗を根本的に防止するためには無接触にしない限り極めて困難です。 正常摩耗は、初期摩耗と定常摩耗に分類されます。 定常摩耗が管理された予定寸法に到達した場合に新しい部品と交換するようにすれば金型の故障や不具合を未然に防止することができます。 一方、異常摩耗は、正常摩耗ではない摩耗のことです。異常摩耗には、代表的に5種類の分類があります。タグ: